芥川龍之介は、日本を代表とする文豪。
日本人なら芥川龍之介の名前を知らない人はいないのではないだろうか?
そんな芥川は35歳の時に「ぼんやりとした不安」を理由に自殺している。
今日は芥川龍之介の自殺の理由など考察する。
芥川龍之介はどんな人?
本名 | 芥川 龍之介 |
生年月日 | 1892年3月1日 |
没年月日 | 1927年7月24日(35歳没) |
出身地 | 東京市京橋区 |
最終学歴 | 東京帝国大学英文科 |
代表作は、『地獄変』『藪の中』『蜘蛛の糸』『羅生門』など。
本名は芥川龍之介だが、幼少期は新原龍之介だった。
龍之介は、牛乳製造販売業を営む新原敏三(父)とフク(母)の長男として生まれたが、フクが精神に異常をきたしたため、生後7か月ごろからフクの実家・芥川家に預けられた。そして11歳のときに母・フクが亡くなり、龍之介は母の実兄の養子となり、芥川龍之介となった。

本名がカッコよすぎる
自殺の原因
芥川龍之介は「ぼんやりとした不安」を理由に自殺しているが、精神障害が原因だといわれている。
芥川の母・フクは、芥川がまだ11歳の時に精神障害で亡くなったが、芥川も母と同じく統合失調症(精神分裂)だった可能性が高い。
統合失調症は遺伝要因と環境が原因といわれている。母が統合失調症だった芥川には罹患しやすい要素があった。
「河童」を執筆した頃には、芥川自身も統合失調症の兆候を認めている。
このことから芥川は統合失調症を苦に自殺した説が濃厚だ。
また、芥川が自殺した年の1月に、芥川の義兄(姉の夫)が保険金詐欺や放火の疑いをかけられ鉄道自殺している。
義兄の借金を背負った芥川が、未来に不安を抱えるのも無理はない。
遺書に書かれた自殺の手段
結論から言うと、芥川龍之介の自殺の手段は服毒自殺だ。
芥川は、友人であった久米正雄に宛てた遺書「或旧友へ送る手記」の中で、自殺方法についての考察をしている。
僕の第一に考へたことはどうすれば苦まずに死ぬかと云ふことだつた。縊死いしは勿論この目的に最も合する手段である。
が、僕は僕自身の縊死してゐる姿を想像し、贅沢ぜいたくにも美的嫌悪を感じた。
縊死→美しくない。
溺死も亦水泳の出来る僕には到底目的を達する筈はずはない。のみならず万一成就じやうじゆするとしても縊死よりも苦痛は多いわけである。
溺死→泳ぎが得意なので助かってしまう。死ねたとしてもしんどい。
ピストルやナイフを用ふる死は僕の手の震へる為に失敗する可能性を持つてゐる。
ピストルやナイフ→手が震えて失敗しそう。
轢死も僕には何よりも先に美的嫌悪を与へずにはゐなかつた。
轢死→美しくない。
ビルデイングの上から飛び下りるのもやはり見苦しいのに相違ない。
飛び降り→美しくない。
僕はこれ等の事情により、薬品を用ひて死ぬことにした。薬品を用ひて死ぬことは縊死することよりも苦しいであらう。しかし縊死することよりも美的嫌悪を与へない外に蘇生する危険のない利益を持つてゐる。
服毒→しんどいけど美しい。
芥川は写真で見て分かる通り男前。
遺書を読む限り、死体の美しさにまでこだわるナルシストだったようだ。(だが、風呂は嫌い)
こうして芥川は美しく死ぬために服毒自殺を選んだというわけだ。
遺書で自殺方法について解説してくれる故人はそうそういないだろう。しかも読み応えがあっておもしろい。笑

溺死がNGの理由が水泳が得意だからってのは爆笑した。
芥川龍之介が登場する作品
太宰や石川啄木の記事でも紹介したので、芥川龍之介が登場する作品についても書く。
芥川は有名な文豪なだけあって様々な作品に登場する。その中でもオススメな作品を紹介する。
スペシャルドラマ ストレンジャー~上海の芥川龍之介~
『ストレンジャー 〜上海の芥川龍之介〜』は、2019年12月30日の21時〜22時13分にNHK BS8K・NHK BS4K・NHK総合テレビの3波同時放送されたテレビドラマ。
新聞社の特派員として中国・上海に派遣された芥川龍之介の視点を通じ、芥川の小説世界と派遣当時の中国の現実を織り交ぜつつ20世紀史中の日中の精神的交流を描く。
芥川龍之介の『上海游記』を元に作られた作品で、主演・芥川龍之介役は松田龍平。

歴史、世界史好きにもオススメできる重圧なドラマだった
蜜のあわれ
芥川の友人でもあった室生犀星原作の映画『蜜のあわれ』にも芥川龍之介が登場する。
『蜜のあわれ』は、2016年4月1日に二階堂ふみ主演で公開された。
芥川役は高良健吾でめちゃくちゃカッコいい。
この高良健吾はハマり役だと評判で、芥川の実孫であるアクタガワタカトシ氏も「この作品を通して、おじいさんに会えた感じがしました」と絶賛している。
ちなみに高良建吾は『人間失格 太宰治と3人の女たち』では、三島由紀夫役を演じていてこちらもハマっていた。
文豪ストレイドッグス
大人気文豪マンガの『文豪ストレイドッグス』にも芥川龍之介が登場する。
文ストの芥川は、ポートマフィアの一員で、首領森鴎外直属の遊撃隊隊長。アニメのCVは小野賢章さんで見た目もかわいい系。
文ストには他にもたくさんの文豪が登場する。文豪好きのヲタクは文ストの漫画とアニメをチェックすることをオススメする。
アニメ「啄木鳥探偵處」
石川啄木が主役のアニメ『啄木鳥探偵處』にも芥川龍之介が登場する。
石川啄木が23、24歳頃の話ということで、この頃の芥川はまだ第一高等学校の学生。
18歳前後の学生時代の芥川龍之介はなかなか新鮮でレアではないだろうか。
統括。芥川龍之介の自殺方法考察がおもしろい。
以上、芥川龍之介について書いた。
統括すると、芥川龍之介の自殺の原因は統合失調症で、芥川龍之介は美的センスで自殺方法を決めていた。
詳しくは久米正雄に宛てた遺書『或旧友へ送る手記』に記されているので、興味のある人は読んでみてほしい。