『満州アヘンスクワッド』を13巻まで読んだのでレビューする。
阿片で狂う人々。追ってくる秘密結社と日本軍のえげつなさ。主人公たちの行く末‥‥めちゃくちゃ怖い漫画だった!
世界観は辛かったが、第二次世界大戦前の日本軍や中国でのアヘン売買など史実に基づいた盛大なフィクションで、大胆な展開に目が離せなかった。歴史クライムサスペンス好きは必読。

エグいシーンが多すぎるのでグロ耐性ない人は注意。
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満州アヘンスクワッド | |
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作者 | 原作→門馬司/作画→鹿子 |
連載雑誌 | コミックDAYS(2020年4月〜2021年9月)週刊ヤングマガジン(2021年9月〜現在) |
既刊 | 13巻(2023年6月現在) |
『満州アヘンスクワッド』は、第二次世界大戦前の満洲国を舞台に、主人公・日方勇が、ヒロイン・麗華らと共に阿片を密造し売り捌いでいくクライム・サスペンス作品である。
2020年4月に『コミックDAYS』にて連載をスタートさせ、2021年9月に『週刊ヤングマガジン』に移籍。現在も連載中。原作は『首を斬らねば分かるまい』『ギルティサークル』『北沢くんはAクラス』などの門馬司。作画は『フルドラム』の鹿子。
2023年6月時点で既刊は13巻。単行本の累計発行部数は180万部を突破している。

以下、ネタバレありでレビューしていく。
未読の人は閲覧禁止。
発売日 | 2020年8月11日 |
収録話 | 第一話「満州の男」、第二話「青幇の女」、第三話「王になる」、第四話「兄の覚悟」、第五話「顧客」、第六話「勇の選択」 |
主な出来事
※要点のみ。細かいことは書いてませんが、ネタバレ注意でお願いします。本編未読の人は閲覧禁止。
昭和12年。関東軍として満州国へ移住してきた日方勇は、察哈爾での軍事演習中に右目を負傷し、満蒙開拓義勇軍へ転属となる。
その矢先、勇の母親がペストに感染。治療費が高額のため大金が必要となった勇は、たまたま同僚の陣内が管理している阿片芥子の栽培場を発見し、口封じをしようとした陣内を殺害。商売目的で阿片を製造することを決め、アヘンを中華民国最大の秘密結社・青幇のアジトへ持ち込む。
アジトにいたのは、青幇のボス・杜月笙の娘・麗華とその部下数名。麗華は勇の製造したアヘンの純度の高さに目をつけ、部下を射殺し、勇と手を組むことを決意する。勇の作った阿片は「真阿片」と名付けられた。
その頃。密売アヘンを取り締まる憲兵・長谷川圭人伍長らが満蒙開拓義勇軍を訪ねていた。弟・三郎が陣内の阿片芥子の栽培場のことを話してしまう。帰宅した勇は長谷川から拷問を受けるが口を割らなかった。なんとか見逃してもらい命拾いする。
麗華は満鉄の社員に真阿片を売ることに成功。分け前を得た勇は、母親の薬を買うが、既に母親は死亡していた。
目的を失った勇だったが、家族で日本に帰る旅費と幼い妹弟の学費諸々の一万圓を稼ぐため、商売を続ける決意をする。
同じ頃、杜月笙は、ある日本人が真阿片を製造していることを知り、殺し屋に勇の殺害を依頼。
1巻、感想
衝撃の第一巻。友達から「ゴカム好きな人なら好きだと思う」と薦められて読み始めたのだが、【主人公が元軍人】【史実上の人物が登場する】以外に似ている箇所はあまりなかった。どちらかというと第二次世界大戦前の闇金ウシジマくん。
第一巻では、主人公の勇がバディとなる麗華(青幇のボス・杜月笙の娘)と出会い、阿片王になる決意をするところまでが描かれた。
現実世界での阿片王といえば里見甫だが、満州アヘンスクワッドには里見甫をモデルにした里山柾が出てくるので、主人公・勇とその一味は完全フィクションの団体のようだ。
ちなみに、冒頭に出てくる満洲国最後の皇后・婉容や青幇のボス杜月笙は、実在の人物。中国の反応が気になるところ。
発売日 | 2020年11月11日 |
収録話 | 第七話「売人」第八話「家族のために」第九話「刺客」第十話「新天地」第十一話「番人」第十二話「贈り物」第十三話「密輸」第十四話「仲間」第十五話「歌姫」第十六話「籠の中の鳥」 |
主な出来事
- リンが仲間になる。
- 熱河省に移転。モンゴル民族に護衛を依頼。妹弟も畑を手伝う。
- モンゴル人通訳として出会ったバータルが仲間になる。
- 勇、麗華、リン、バータルの四人で阿片を売り捌くため新京へ向かう。
- 金持ちの集まるパーティー「満州映画協会」で満映のスター李姚莉と出会う。勇は東映から逃げている李姚莉を匿う。李姚莉は中国人女優として売り出しているが日本人。
- 麗華は、李姚莉が逃亡し人手不足の満映に新人女優として乗り込む。
2巻、感想レビュー
二巻では、妹と弟を連れて熱河省に移転し、リンとバータルが仲間になり、新京へ阿片を捌きに行くところまで描かれた。
妹と弟にまで阿片栽培のお手伝いをさせるなど色々と思うところはあるが、この時代を生きていくためには仕方のない選択なのかもしれない。戦時中〜戦後までは犯罪に手を染めざるを得なかった人はたくさんいただろう‥。
優れた記憶の能力のあるリンと通訳のバータルが麗華に同行してくれるのは心強いのだが、勇がついて行く理由ある?
阿片の調合は熱河省で済ませてるんだよね?真阿片を作れる唯一の人物を危険な旅に同行させる意味が分からない。勇より戦闘に優れたモンゴル民族を連れて行った方がいい気もするのだが‥。
とはいえ、勇が熱河省でずっと阿片を作ってるだけの漫画なんて、おもしろくもなんともないのでこの件は素朴な疑問におさめておく。
李姚莉のモデルは、李香蘭(山口淑子)という1938年に満映から中国人女優としてデビューした日本人女優。ググったら出てくるがめちゃくちゃ美人。ハッキリした顔立ちなので、確かに中国人っぽい。
発売日 | 2020年8月11日 |
収録話 | 第十七話「代役」第十八話「ヒロイン」第十九話「快楽」第二十話「犠牲」第二十一話「中毒者」第二十二話「人間の本質」第二十三話「火の車」第二十四話「決死の取引」第二十五話「囮」第二十六話「プロパカンダ」 |
主な出来事
- 李姚莉を巡って青幇の構成員・周らと攻防する。
- 麗華は満映の俳優やスタッフをアヘン漬けにすることに成功。
3巻、感想レビュー
3巻では、満映の俳優&スタッフへの真阿片売りつけに成功。青幇に捕らえられた李姚莉も奪還。そして阿片王・里山柾が登場する。
この漫画はテンポ良く話が進んで展開が早い。重い話だが、すぐに読めてしまうのが魅力の一つかもしれない。
それにしてもターゲットを阿片中毒にするシーンは毎度のことキツい。池山は決していい奴ではなかったが、騙して阿片中毒にするほど悪いやつでもなかった‥。まぁこれがこの時代の侵略の仕方よな‥。
阿片の密造者のくせにお人好しな勇は李姚莉を助けて、李姚莉から「日本に一緒に帰ろう」と言われるほど惚れられる。
悪の組織から命救われたら誰だって惚れますわな‥リンちゃんの時といいモテムーブかましすぎ。冒頭のこともあるし、勇は行く先々で美女からモテてしまうのか?と不安になったが、こういう展開は新京編だけだったので、まぁ安心。
そして阿片王・里山柾が杜月笙を呼び出す‥。ちなみに里山柾のモデルの里見甫と杜月笙は、実際に交流があったらしい。
発売日 | 2021年5月12日 |
収録話 | 第二十七話「阿片王」第二十八話「それぞれの道」第二十九話「逃し屋」第三十話「次なる地」第三十一話「犬の生き様」第三十二話「火種」第三十三話「大観園」第三十四話「皇帝」第三十五話「地獄の楽園」 |
主な出来事
- 里山柾は、杜月笙に、真阿片を密売しているならず者を共に追い詰めようと提案。
- 李姚莉が日本に帰る船が出る夜。勇たちは再び周らから襲撃を受けるが、タイミングよく関東軍の熊田がやってきてうまく邪魔してくれる。その隙に車で李姚莉を送り届けて新京編終了。
- 勇一味は青幇とロシアンマフィアの勢力争いで荒れているハルビンへ向かう。麗華は二つの勢力をぶつけて戦争を起こし漁夫の利を狙うつもり。
- ハルビンでは二手に別れて行動する。麗華と勇はロシア人の逃し屋キリルと出会い、リンとバータルはエンマという子どもと出会う。
- ロシアンキャバレーにて、勇は今後のキーマンとなるロシア人女性・ニーナと出会う。客としてやってきた皇帝と呼ばれる資産家・アレクセイ・ロジェエフスキーを目撃。ニーナはその場で皇帝にスカウトされ、皇帝の秘書として働くことになる。
4巻、感想レビュー
4巻では、前半で新京編が終了し、後半からハルビン編に突入する。
ハルビンでは、元・ソビエト連邦内務人民委員部の秘密警察として働いていたキリルと出会う。ハルビンははロシア人が多く住む地域らしい。満州の地理に詳しくないので勉強になった。ロシアと満州は地続きだし亡命してきた人は確かに多そう。
新キャラ・キリルは、一目惚れした女の子を助けるため、権力に楯突き2人で満州に逃げてきた情熱的な人物。元秘密警察のためロシア人コミュニティでは嫌われており、満州では逃し屋としてアングラの世界で生きている‥‥孤高の一匹狼と儚げ美少女のカップル、かなり推せる。
麗華は、ロシア人マフィアとハルビンでも幅を利かせている青幇をぶつけて漁夫の利を狙うつもりらしいが、なぜこんな危険な地域を狙ったのか不思議。もうちょっと簡単な街あっただろ、なぜこんなに難易度の高い街へ行く?
麗華の目的はお金だけではなく「王になること」なので、ハルビンの青幇を潰したかったのかな‥。麗華と青幇(というより杜月笙)の間に何があったのか気になります。
発売日 | 2021年8月11日 |
収録話 | 第三十六話「拉致」第三十七話「真の敵」第三十八話「競売」第三十九話「救出作戦」第四十話「囚われの身」第四十一話「黒幕」第四十二話「皇帝の素顔」第四十三話「取引」第四十四話「脱出」 |
主な出来事
- キリルの同居人のナターシャが青幇に攫われる。ハルビンの青幇は女や子どもの人身売買を生業にしていた。キリルは元ソビエト連邦内務人民委員部(НКВД、エヌカーヴェーデー)の秘密警察なので、ロシア人に嫌われていて誰も助けてくれない。
- 麗華がキリルのピンチを察して協力することに。キリルと麗華でナターシャが出品される競売を襲撃する。ナターシャを買った客を追い詰めるが、カーチェイス中にロシアンマフィアの縄張りに入ってしまいナターシャと共に捕らえられる。
- ロシアンマフィアのボスはまさかの皇帝・アレクセイ・ロジェエフスキー。麗華は自分が杜月笙の娘であることを話し人質になる。ナターシャも捕らえられ、キリルは道端に捨てられる。
- その頃、アレクセイ・ロジェエフスキーの秘書であるニーナは、地下室に拷問部屋があることに気がつく。皇帝の正体に気づいてしまった。
- 競売をめちゃくちゃにしたのがロシアンマフィアだと思っている青幇。ロシアンマフィアVS青幇の戦いが始まる。ロシアンマフィアは麗華を人質に使うが、青幇幹部・馮英九はボスの娘なんてお構いなしで抗争スタート。麗華は争いに巻き込まれ負傷する。
5巻、感想レビュー
5巻では、善人面したロシア人の資産家・アレクセイ・ロジェエフスキーがマフィアのボスだったことが判明。キリルの彼女・ナターシャが青幇に攫われ闇オークションに出品され、なんやかんやでロシアンマフィアVS青幇の戦いに突入。そして麗華が青幇幹部・馮英九(フォンインチュー)に殺されそうになったところで終了。
真阿片、全く捌けてない(´・ω・`)
今までトントン拍子にいってたけど、今回は真阿片も捌けないし、麗華は殺されかけるし、全然うまくいかない。さすがの麗華ちゃんの読みが甘かったかな。
それにしても、普通に生活してるだけで子どもや女性が攫われて競売に賭けられる街、恐ろしすぎる。いくらなんでも治安悪すぎだろ。令和の日本に生きててほんとによかった。
真阿片は捌けてないけど、この極悪人共を滅ぼせれるならハルビン編も意味のある旅だったのかな、と思える。
発売日 | 2021年11月5日 |
収録話 | 第四十五話「負傷」第四十六話「助っ人」第四十七話「復讐の連鎖」第四十八話「脱出」第四十九話「闇医者の正体」第五十話「作戦開始」第五十一話「皇帝の力」第五十二話「餞別」第五十三話「襲撃」 |
主な出来事
- 馮英九に殺されそうになっていた麗華だが、エンマの仲間の子どもたちのおかげで一命を取り留める。すぐに勇たちが麗華を見つけてアジトに連れて帰る。
- ニーナは皇帝に監禁されていた人たちを逃す。ナターシャが囮になってくれたおかげで全員を逃せれたが、ナターシャは1人地下室に残ったまま。
- キリルは露人事務局から出てきたニーナに話かける。ナターシャを救うため、再び麗華たちを頼る。
- 麗華の容態がひどいので、勇とリンは麗華を闇医者がいる吉林へ連れていく。残ったメンバーでナターシャを救う。
- キリルはナターシャを救うことに成功し皇帝は死亡。
6巻、感想レビュー
6巻では、勇とリンは負傷した麗華を闇医者のいる吉林へ連れていき、バータルとキリルはハルビンに残りハルビン編に決着をつける。
キリルは得意のカーチェイスで皇帝を瀕死に追い込むが「しゃべるな 強者のまま死ね 野良犬からの選別だ」とトドメは刺さずに放置。苦しみながら死ぬのもある意味可哀想だが、悪いマフィアにも人として死なせてあげるなんてキリル優しいな。
ナターシャもほんといい子。地下室に監禁されていた人たちを逃すために、自分が囮になるなんて。並大抵の人間はできないよ。ガチの女神。徳を積みすぎ。来世では石油王になってほしい。
ほんとにキリルとナターシャのカップルは推せる。二人には絶対に幸せになってほしい‥。
発売日 | 2022年2月4日 |
収録話 | 第五十四話「悪魔再来」第五十五話「悲しみの銃」第五十六話「夢」第五十七話「現実と信念」第五十八話「新拠点」第五十九話「満州旗人」第六十話「俥引きの旗人」第六十一話「引き金の破片」第六十二話「初期投資」 |
主な出来事
- 馮英九はエンマがトドメをさして死亡。ハルビンに平和が戻った。
- キリルは、ナターシャと一緒にロシアに帰る資金稼ぎのため、勇の一味に加わることになった。ナターシャをニーナ預けてバータルと共に吉林へ向かう。
- 麗華は闇医者・關志玲のおかげで無事に回復。バータルとキリルとも合流し、闇医者に払う資金稼ぎが始まる。次のターゲットとして目をつけたのは、満州旗人。まずは屋敷町にある元上流旗人の曹のもとで働く・昊天に接近する。
- 勇たちの行方を追っていた憲兵の長谷川圭人とその部下・凡も吉林に到着。闇医者・關のもとを訪ねる。
7巻、感想レビュー
7巻では、エンマが馮英九にトドメを刺し、ハルビン編は終了。キリルが仲間になり、吉林編がはじまる。
馮英九は皇帝とは対照的で、最後の言葉を無視され額に弾丸を打ち込まれるというとても強者に思えない死に方だった。子どもを攫って人身売買はしていた下衆野郎なのでこの死に方は妥当。むしろもっと苦しんで死ぬべきだった気もする。
結果的にハルビンでは真阿片は捌けなかったが、キリルという仲間を手に入れたのでよし。しかしキリルには真っ当に働いたお金でナターシャと幸せに暮らしてほしい気もする。
アヘンを売り捌き、中毒者を地獄に落として、主人公サイドがハッピーエンドで終わる気がしないんだよね‥。
もし勇や麗華が幸せになれなくても、キリルとナターシャにだけには幸せになってほしい‥。作者様、そこだけはどうかお願いします。というか、何の罪もないナターシャを不幸にしたら許さない。
発売日 | 2022年4月6日 |
収録話 | 第六十三話「肉薄の追求」第六十四話「漢人からの礼品」第六十五話「没落」第六十六話「饅頭」第六十七話「潜入」第六十八話「模倣品」第六十九話「没収」第七十話「裏切り者」第七十一話「旗人の饗宴」第七十二話「支え」 |
主な出来事
- 麗華、勇、バータルは、屋敷町に潜入。昊天を使って屋敷町の元上流旗人を真阿片漬けにすることに成功。
- 長谷川と凡は、抗日グループの男をボコボコにして闇医者・關の元へ放り込む。男の家族を人質に取り、スパイとして勇の情報を探らせる。關とリンが納屋で勇の話をしているのを聞いた男は長谷川に報告。
8巻、感想レビュー
8巻では、屋敷町に潜入し元上流旗人に阿片を捌く。關とリンは憲兵・長谷川に見つかる。
ハルビンでは全く稼げなかったので、吉林ではきちんと稼ぎにいく麗華。こういう楽そうなところを責めれば確実に稼げれるのに(←)どうしてハルビンなんて難関地域に行ったのか‥!
しかし昊天くんは可哀想すぎるな。罪悪感を抱える一般人を働かせるのはよくないよ〜。こんなことして、主人公サイドがハッピーエンドで終わるなんてますます思えなくなってきた。
発売日 | 2022年6月6日 |
収録話 | 第七十三話「急襲」第七十四話「囚われ」第七十五話「スカベンジャーの娘」第七十六話「ノーマン・バーチ」第七十七話「闇医者の誕生」第七十八話「地獄の拷問」第七十九話「薬瓶」第八十話「脱出の覚悟」第八十一話「瓦解」第八十二話「始末」 |
主な出来事
- リンと關は、長谷川と凡に警察本部に連れていかれる。
- 外出していたキリルが關とリンのピンチを察し、屋敷町の三人に知らせる。麗華は、リンと關を見捨てて吉林を去る決意をする。
- 關が憲兵を嫌いな理由は、闇医者の師匠・ノーマン・バーチがスパイ容疑で憲兵に捕らえられたから。關の両親は既に死亡。弟が1人いて、それが昊天だった。長谷川は昊天を連れてきて拷問を始めた。ノーマンの名前を出されても動じなかった關だが、弟を連れてこられて動揺を隠せない。
- リンは拷問を受けるが、勇の居場所を絶対に吐かなかった。長谷川は凡にリンの殺害を命じる。
9巻、感想レビュー
9巻では、リンと關が長谷川に捕まり、關が闇医者になった経緯が聞かされ、關と昊天が姉弟だということが判明、そしてリンが拷問を受け、凡に殺される‥???
長谷川、凡。マジで嫌い。この漫画で1番嫌いだわ。リンに対してもだが、スパイをさせていた抗日グループの男に対する仕打ちにドン引き。けど第二次世界大戦時の日本軍ってこんな感じなんだろうね。もちろん人によるだろうが、憲兵はだいたいこんな感じでしょ。
リンちゃんの拷問内容はそんなエグくなかった。長谷川も結構簡単に諦めたし、編集部からリンちゃんをイジメすぎたらダメって言われたのかな(´・ω・`)
しかし見た目がエグくなかっただけでずっと同じ体制でいるのはキツいよな‥。我慢して耐えてもエコノミー症候群とかで死にそう。
昊天は巻き込まれただけなのに、なんでこんな酷い目に遭うん???
間違いなく昊天がこの漫画で1番可哀想だろ。闇バイトに手を出した若者の末路は悲惨だが、昊天の場合は自分から応募したわけでもないし巻き込まれただけじゃんか。
あとキリルは憲兵が来たときにいないとか役に立たねぇなwwwま、車ないキリルの戦闘力はそんな高くないだろうし、勇たちに知らせれて結果オーライか。
発売日 | 2022年9月6日 |
収録話 | 第八十三話「一歩も引くな」第八十四話「封鎖」第八十五話「検問」第八十六話「最悪なタイミング」第八十七話「再会」第八十八話「銃撃戦」第八十九話「カー・チェイス」第九十話「突破口」第九十一話「巨体の守護者」第九十二話「跳躍」 |
- バータルとキリルは、關の患者たちと一緒に、リンと關を助けに警察本部へ向かう。
- 長谷川は昊天が真阿片を持っていることに気がつき、勇が屋敷町で商売をしていることを確信。吉林省全域に検問を張る。
- リンを見捨てようとする麗華に、勇は「自分がボス」だと主張し、リンを助けに向かう。検問は農家に成りすまし牛糞の中に勇を隠して突破した。
- バータルが關と昊天を救出。長谷川に見つかるが、勇以外に興味がないので見逃される。
- 凡は妹と歳が変わらないリンのことを殺せなかった。リンは遺体置き場に放置されており、匂いを嗅ぎつけた勇がリンを見つける。キリルの車でカーチェイスの末、脱出成功。凡はカーチェイス中の事故で長谷川を庇って死亡。
- いったん熱河に戻ることにした勇一味。熱河に帰ると里山柾が訪ねてきた。
10巻、感想レビュー
10巻では、リンと關を奪還し、吉林編終了。
とりあえず、リンちゃんが生きててよかった(´;ω;`)
凡は人生の中で唯一いい行いをした。リンを生かしたことは正しい行い。地獄での刑罰もちょっとだけ軽くなるだろう。とはいえ、今までの仕打ちは決して許されない。過去のトラウマを聞かされたくらいじゃ全く同情できないレベル。地獄でしっかり反省してほしい。
長谷川と凡に人間らしい絆があったのは意外だった。こいつら人の気持ちとか持ち合わせてたんだ‥。
だけど密造阿片を売り捌いてる勇一味を取り締まることは別に悪ではないんよな‥。密造阿片を吸ってた人を取り締まるのも悪ではないし。むしろ勇たちの方が悪。殺された抗日グループの男も可哀想だったが日本軍の仕事的には拷問対象者ではある。時代が長谷川と凡をこうさせたのかもしれないですね‥。
とにかくこいつらを嫌いすぎて無条件で勇一味を応援しがちだが、勇たちが「善」ではないことは忘れないでおきたい。
発売日 | 2022年12月6日 |
収録話 | 第九十三話「来訪者」第九十四話「旗人の誇り」第九十五話「嵐の後に」第九十六話「旅支度」第九十七話「潜入と暗号」第九十八話「大連前夜」第九十九話「港町・大連」第百話「ビジネスマン」第百一話「荒波を待つ者」第百二話「金体泰」 |
主な出来事
- 里山柾は勇の真阿片に目をつけ、勇と手を組みたいと言ってきた。とりあえずは引き下がってくれたが、また交渉に来るつもりらしい。
- 吉林に戻れないので勇一味についてきた闇医者・關も正式に仲間になる。
- 次は満州の外に真阿片を密輸するつもりだ。そのためには協力者が必要不可欠である。港町の大連にやってきた勇一味は、李静と名乗る貿易公司の男と出会う。
- 麗華は李静を警戒するが利害が一致するので協力することにする。
11巻、感想レビュー
11巻は、満州の外に真阿片を密輸するため、大連に向かい李静と出会う。
弟まで巻き込まれた關は、勇を恨んでいたが、勇の境遇に共感したようで仲間入りを決意。
一方で弟は、大切な人・神美まで阿片中毒になり、危ない仕事に手を出した自分を責めていた‥‥。
これが悪に手を染めた者の末路ってことだよね?昊天レベルでこれなら勇一味が幸せになる未来ある?むしろ昊天をこんだけ不幸にしたんだから勇たちだけ幸せになるのは許されないと思う。
新キャラ・李静が登場。初っ端から怪しい感じだし工作員とか言われてるけど、勇たちはこいつを信じて大丈夫なんだろうか?
発売日 | 2023年3月6日 |
収録話 | 第百三話「密告」第百四話「船旅の支度」第百五話「ガサ入れ」第百六話「出港の朝」第百七話「魔都、頂上会議」第百八話「上海上陸」第百九話「大世界」第百十話「不器用な踊り」第百十一話「社交場」第百十二話「別室」 |
- 大連には、青幇新京の幹部・周が来ていた。青幇大連支部長・黄飛龍と共に勇たちを追い詰めようとするが、李静の罠にかかり勇たちを逃してしまう。
- 李静が青幇を追い払ってくれたおかげで、勇たちは無事に密輸船に乗り上海に到着する。
- 上海でのアジトも李静が準備してくれた。麗華と勇は李静と共にナイトクラブに潜入。勇は春鈴という踊り子と仲良くなり、春鈴から“人が消える社交クラブ”の噂を聞く。そこは上海の秘密結社・紅幇が運営する非合法の阿片窟・煙館だった
12巻、感想レビュー
12巻では、李静のおかげで密輸に成功し、上海上陸。紅幇が運営する阿片窟にたどり着く。
大連には、新京でやり合った周さんがわざわざ(殺しに)来てくれたが、顔を合わせることはなく勇たちは上海上陸。李静はかなり優秀のようですね。
日本軍、青幇だけでも手一杯なのに紅幇と工部警察が出てきたよ‥。まぁでも日本軍と青幇は上海にはいないので、上海には上海の敵が必要だもんね。
紅幇は青幇と同時期に存在した実在の組織らしい。満州アヘンスクワッドのおかげで中国のアングラにどんどん詳しくなっていく。笑
発売日 | 2023年6月6日 |
収録話 | 第百十三話「煙館の革命」第百十四話「工部警察」第百十五話「”正規販売人”たち」第百十六話「双子」第百十七話「紅幇の犠牲者」第百十八話「戦局の要」第百十九話「魔都の機」第百二十話「上海の竜虎」第百二十一話「新聞社」第百二十二話「煙館に蠢く」 |
主な出来事
- 麗華たちは、煙館で真阿片を売り捌き紅幇の客を取り込むことに成功。続いて李静から紹介されたナイトクラブ、賭場、酒場などのディーラーたちを使って阿片を売り捌いた。ディーラーを使えば、仮に彼らが捕まったとしても勇たちまで辿り着けない。
- 真阿片の噂は、すぐに紅幇の宋蘭玉まで届いた。双子の用心棒 鷹(いん)・雕(でぃあお)がディーラーの踊り子・ナナを拷問、殺害。上海の工部警察・梓睿らも真阿片の存在に気がつく。
- 麗華は、紅幇や工部警察との戦いに備えてユダヤ人を味方につけることを考えた。上海は自由港になっているため、ユダヤ人のコミュニティができている。麗華はユダヤ人少年・マルク・ベッカーに金を渡し新聞屋でバイトをさせて記事を書かせた。
- キリルとバータルが集金に行った煙館が爆破される。部下を引き連れた宋蘭玉がやってきた。
13巻、感想レビュー
13巻は、紅幇の煙館で真阿片を売り捌くことに成功。島を荒らせられて怒った紅幇の女ボス・宋蘭玉は、勇一味の煙館を爆破。
紅幇の煙館で真阿片を売り捌く麗華、度胸ありすぎる。いつバレるかめっちゃハラハラしながら読んだ。これぞクライムサスペンスっすね。
しかし実際に拷問されて殺されたナナさんはたまったもんじゃないよな。軽い気持ちで売人なんかやったら悲惨な死に方するね。
街の人たちにディーラーやらせて捕まったら尻尾切りするつもりの麗華はやっぱりエグい。さすが吐月笙の娘。
こんだけ酷いことしても麗華はナナより悲惨な死に方はしないだろうな‥。漫画的に麗華にひどいことはしないだろうし(←メタ発言)、いつの時代でも悲惨な目に遭うのは末端ばかりって決まってるんだよ。そういう状況をずっと見てきたから、麗華は王になろうと思ったのかな?
キリルとバータルが集金に行った煙館が爆破され、部下を引き連れた宋蘭玉がやってきて13巻終了。
そりゃあこんだけナワバリ荒らしたら仕返しされますわ。この戦いの鍵はユダヤ人少年に握っている!!!!次巻も楽しみ。
以上、満州アヘンスクワッド13巻までのレビューを書いた。
エグいし怖いし何度も読むのをやめようと思ったが、結局イッキ読みしてしまった。勇たちの行く末はバッドエンドな気がしてならないが、最後まで見届けたい。

阿片だけに中毒性のある漫画だった。
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