今回は、文豪「太宰治」について書く。
太宰治は、4度の自殺未遂の末に、愛人と入水自殺をしたことで知られる昭和の小説家。
実は金持ち一家に生まれたボンボンで、盗作説などもある話題に耐えない人物である。
この記事では、わたしのお気に入りの太宰治のおもしろいエピソードを紹介する。
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太宰治の人生
本名 | 津島 修治(つしま しゅうじ) |
生年月日 | 1909年(明治42年)6月19日 |
死没月日 | 1948年(昭和23年)6月13日(38歳没) |
出身地 | 青森県北津軽郡金木村(現五所川原市) |
最終学歴 | 東京帝国大学仏文科中退 |
太宰治は、1909年明治42年の6月19日に、青森県北津軽郡金木村の県下有数の大地主・津村家の六男として生まれた。
学生時代は、芥川龍之介、菊池寛、志賀直哉、室生犀星などを愛読。
青森県立青森中学校在学中、17歳の頃に『校友会誌』に習作「最後の太閤」を書く。また友人と同人誌『蜃気楼』を12号まで発行。小説家を志望するようになる。
1936年6月25日に最初の単行本『晩年』を刊行。
実家は金持ち。月に100万の仕送りを貰っていた。
太宰の実家は、青森県県有数の大地主で、お金持ち。
父親・源右衛門は、県会議員、衆議院議員、多額納税による貴族院議員などを務めた地元の名士で、津島家は「金木の殿様」とも呼ばれていた。
最盛期の津島家の資産は津軽の第4位。大正五年の記録では五十五万円となっている。
現代換算するとなんと約十六億円!
そんなボンボン太宰は、津島家の11人の子女のうちの10番目の子どもだったが、学生時代は毎月百円もの仕送りを貰っていたという。
当時は、小学校正教員の初任給が三十五円から四十円の時代。この時代での百円は百万円ほどになる。
弘前高校時代の太宰は、浪費癖が酷く、実家からの百円の仕送りを一月で使い果たし、ひどい時には二百円使うこともあったらしい。

つまり太宰は、DK時代に小遣い月100万もらうクソボンボンだったという訳だ
太宰治のペンネームの由来
太宰治の本名は、津島修治だが、ペンネームの由来には諸説ある。
- 友人がそばにあった『万葉集』をパラパラめくって「太宰」というのが目についた。(妻・美智子説)
- 「太宰」は百官の長、総理大臣。「治」は統治する。文学界の長となって文学界を統治するという意味。
- 「太宰」と「堕罪」を掛けている。
- ドイツ語の「da sein」との語呂合わせ。(哲学用語で現に存在するという意味)
- 津軽弁を出さずに発音できるから。太宰は本名の津島修二も「つすま すんじ」と発音していた。(宮内寒彌説)
などがあるが、わたしは津軽弁を隠すため説が濃厚だと思っている(笑)
しかし太宰自身は、ペンネームはテキトーに決めたと言っていたようだが、気に入っているような節もある。誰にも教えていない特別な理由があるのかもしれない。
「生まれてすみません」に盗作説あり?
「生まれてすみません」は『二十世紀機種』の副題であるが、これは太宰のオリジナルではなく、寺内寿太郎という人物の秘蔵の詩であった。
寺内は、太宰の友人の評論家・山岸外史のいとこで、詩人。
太宰は山岸外史との会話から「生まれてすみません」というフレーズを気に入って『二十世紀機種』に剽窃。
当時の太宰と山岸の間では、会話の中で生まれた言葉は早い者勝ちで利用してよかったという。しかしこれは山岸ではなく、寺内の詩。
寺内から苦情を受けた山岸は、太宰に注意するが、太宰は「あの句は山岸君のかと錯覚するようになっていたのですよ」とキョトンとしていたという。
ちなみに、寺内はその後、寺内は文学に挫折。憂鬱症に陥り、家出を繰り返し、やがて失踪してしまった。没年月日不明。

どっかで聞いたことのある言葉を使っちゃうってのは、よくあることだけどねぇ・・・。
ともあれ寺内さんの人生が不遇すぎる。
4度の自殺未遂
太宰といえば、自殺のイメージが強い人も多いと思う。
私もそこから太宰に興味を持った1人だ。
太宰には、約4回の自殺未遂歴がある。
- 20歳。旧制弘前高校3年生の頃。下宿でカルモチンを嚥下し昏睡状態に陥る。
- 21歳。津島家から分家除籍された太宰は、銀座で出会った18歳の女給・田辺あつみと鎌倉の海岸でカルモチン心中を図る。田辺は絶命。
- 25歳。東大に落第し、実家から仕送りを打ち切られ、就活もうまくいかずに、鶴岡八幡宮の裏山で首吊り自殺未遂。紐が切れたので助かる。
- 7歳。ピビナール中毒で入院中に内縁の妻・小山初代に浮気されて、谷川岳山麓で初代と共に心中を図るが未遂に終わる。
そして、38歳の時に山崎富栄と共に入水自殺に成功し永眠した。
まず、太宰の一番最初の自殺未遂と言われている旧制弘前高校3年の頃のカルモチンでの昏睡状態は、自殺ではないという説もある。
カルモチンとは一種の睡眠薬だ。眠れなかった太宰が、カルモチンを飲んで就寝したところ、効きすぎて昼まで熟睡してしまっただけだとも言われている。
しかし、翌年21歳の頃の自殺未遂は、心中相手の田辺あつみは絶命。本気で死ぬ気があったかは謎だが、少なからず、太宰には若い頃から希死念慮があったようだ。
彼が中学時代に憧れていた芥川龍之介が自死したことにも影響を受けているかもしれない。
ちなみに太宰の他に自殺した有名な小説家は、芥川龍之介(35歳没)、三島由紀夫(45歳没)、川端康成(72歳没)などがいる。
※川端康成は諸説あり。
太宰治が出てくるオススメの作品。
太宰治の著作は、超有名なので、ここであえて太宰治が登場するフィクション作品を紹介する。
『人間失格 太宰治と3人の女たち』
『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、太宰と彼をめぐる3人の女たちを描いた映画。
太宰役は小栗旬で、監督は写真家の蜷川実花さんだ。
本妻・津島美知子、愛人・太田静子、心中相手・山崎富栄をそれぞれ宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみが演じたことでも話題となった。
ウィキペディアなどで顔写真を見てもらうと分かってもらえると思うが、太田静子→二階堂ふみ、山崎富栄→沢尻エリカの方がしっくりくる。笑
『文豪ストレイドッグス』
『文豪ストレイドッグス』は、朝霧カフカ(原作)、春河35(作画)による人気マンガで、アニメ化もされている。
太宰治の他にも、芥川龍之介、中島敦、江戸川乱歩といった文豪がキャラクター化されていて、それぞれの文豪にちなむ作品や、ペンネームなどの名を冠した異能力を用いて戦うアクション漫画である。
太宰が出てくる作品ではないが、同姓同名で作品名やゆかりのあるものがジャンジャン出てくるので、文学好きは楽しめること間違いなし。

ちなみに『文スト』の太宰治は、自殺・美女・酒・蟹・味の素が好きで、犬と中原中也が嫌いらしい。
だいたい合ってる。笑
『文豪とアルケミスト』
『文豪とアルケミスト』は、DMM GAMESより配信されているブラウザゲームで(スマホでも配信されている)、アニメ化もされている。
『文スト』と同じく文豪がイケメンキャラクター化されて登場する作品だが、こちらの文豪はちゃんと文豪。
文豪により綴られてきた数多の本。独創的な世界観や感情揺さぶる物語が記されたそれは文学として人々の心を彩り、
https://anime-bungo-alchemist.com/
世界を豊かにしてきた。しかし、そんな本を黒く染める異形のモノ達が現れる。
それは、文学に対する負の感情から生まれた“侵蝕者”と呼ばれる存在だった。
本を侵し、この世界から消し去ることを目的とする侵蝕者に対抗できるのは“アルケミスト”の力で転生を果たした文豪達のみ。
文豪は侵蝕された本に潜り、侵蝕者を討ち果たすことで本を救う。
全てはこの世界の文学を守るため。
これは、魂を込めて作品を創ってきた者達が綴る、新たなる文豪譚——
太宰の声優は中村悠一さんで超イケボだ。
ムードメーカーでナルシストのかまってちゃん。
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見えない部分のオシャレにもこだわりを持っている。
芥川龍之介のことを非常に尊敬しており、彼を「芥川先生」と呼び慕う。
こちらの設定もだいたい合っている。
実在の太宰も、おシャレにこだわりがあり、少々ナルシスト。芥川のことを尊敬していたことは言わずもがなである。
統括。太宰治はクズエピソード以外にもいい話がたくさんある。
以上、太宰治について書いた。
あげればキリがない太宰エピソードだが、月に100万の小遣いを貰っていたクソボンボンだったというのが1番の衝撃だった。
高校生の頃から(旧制高校なので17〜20歳)、月に100万〜200万を使って芸者遊びをしていたなんて、クソボンボン以外の言葉が見つからない。
ここで紹介した太宰のエピソードは、ほとんどがクズ系エピソードだが、太宰には人を喜ばせるのが好き、意外と子煩悩、勤勉で秀才などのいいエピソードもたくさんある。
ちなみに、酒癖はよかったらしい。女癖は最悪だったけど。